喘息という病気を知っていますか?アレルギー物質や、喫煙などが原因で起こる病気です。特に子供の頃に起きるものを小児喘息と言います。慢性疾患に位置付けられるこの疾患は、症状が治まれば終わりというものではありません。この記事では喘息について超簡単に教えちゃいます
Astra Zeneca https://www.naruhodo-zensoku.com/zensoku/
喘息の症状と症状機序
一般名称は喘息と言われていますが、これは主に「気管支喘息」のことを指します。
気管支というのは空気の通り道で右と左にある肺の分岐点に至るところです。
喘息というのは、慢性疾患と言いました。慢性疾患とは基本的に一生付き合っていかないといけない病気です。
生活に全く支障のない無症状時期があったり、ストレスやアレルギー物質が引き金となり喘息が再燃するイメージを持っていてください。
現在の日本では、5~7%、大人の3~5%が喘息を持っているとされています。成人の喘息の多くは小児喘息から移行したものです。小学生の頃に8週間ほど続く長い咳(喘息咳)があった人は要注意です。薬物治療をしないままだとそのまま喘鳴を伴う喘息に移行します。
子供の頃に喘息はあったけど…という人も、火種は持っていますので、体が弱っている時期はストレス、喫煙、アレルギー物質が引き金となり喘息が再燃することが多いです。
【喘息の症状】
- 息苦しさ(体を動かしたときに増悪する)
- 喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)
- 咳、痰がでる
【症状の機序】
原因は
- ストレス
- アレルギー物質
- 喫煙
- 香水
- 風邪などの感染症
などです。これらが体に入ってくると、常時炎症を持っている気管支(喘息を持っている人は持ってない人より元の気管支が狭いといわれています)が敏感に反応し、気管支を更に狭くします。
体に害があるものをこれ以上体に侵入させないための体の防御反応です。
気管支が狭くなると、呼吸がしずらくなり、口笛のように狭くなった気管支に空気が通るため、喘鳴が起きます。
また、生体の防御反応の中には痰と一緒に害のあるものを体外へ出そうとするものもあるため、咳や痰がでます。これが、喘息の症状をの全貌です。
以下は看護学生に向けて書きますね。しっかり学んで実習で怖い看護師さんに詰められないよにしてください。一般の方はすっ飛ばして下さい。
- アレルゲンの侵入
- リンパ球がIgE抗体を生成
- 気管粘膜上にいるマスト細胞上でIgEが待機
- 即時型反応として、マスト細胞からヒスタミン・ロイコトリエンが分泌
- 遅発型反応として、好酸球が活性化
- 4.5の反応で気管支に炎症が起こり、気管支の狭窄が起こる
以上のことから、①可逆性気流制限②起動過敏性更新③好酸球性気道炎症という3つの症状が現れます。気流制限があるということは、閉塞性換気障害の部類ということも抑えておきましょう。COPDと同じような肺の状態です。
ちなみに、喘息の特徴の一つに、「息は吸えるけど、吐けない」というのが特徴にあります。なので、息を吸う事よりも、吐くことに意識を持っていくように声掛けをしましょう。
はい、難しい話を終わります。ぶっちゃけ看護師になってもそこまでIgEとか、好酸球性とかは使いません。薬がなんで効くのかという事の知識に役立ちますのでちょっと知っておくと便利です。
喘息が起こりやすい時間帯
喘息にはまだ特徴があります。じつは、脳梗塞や脳出血と同様に、起こりやすい時間帯があります。
夜間~朝方
です。特に注意が必要なのは、気圧の変動がある、季節の変わり目、寒暖差が激しい時は注意しましょう
検査
喘息の検査として最もポピュラーなのが呼吸機能検査(スパイロメトリー)検査です。
スパイロメーターという機械を使い呼吸機能を調べる喘息の基本的な検査です。
息を思いきり吸い込み、次に力いっぱい吐きます。
この時、息を思いっきり吸ったときの肺活量(努力性肺活量)、吐き始めてから吐き終わるまでの時間、吐くスピードを、機械が測定します。
最初の1秒間で吐き出した空気の量を1秒量(FEV1)といい、この値が喘息の重症度の基準となります。喘息の方の場合、肺活量や1秒量は正常値より低くなる場合があります。
そして、この結果を用いてグラフを作成すると喘息の人は全体的にグラフのサイズが小さくなります。
自宅でできる検査キットもありますので、必要な時は医者から渡されます。
※画像はAstra Zenecaより引用させていただきました。
あとは、血液検査、レントゲンといったものと。アレルギーを調べるので皮膚反応テスト、気道過敏性試験があります。
治療
治療は、薬物療法です。
喘息発作が起きないようにするものと、起きたときに沈静化させるものの2種類があります。
①喘息発作の予防薬
喘息の発作は、アレルゲンやストレス、疲労でおこります。そのため、メインになるのは予防薬の吸入です。
慢性的に炎症をしている気管支に毎日、吸入を行うことが大切です。
吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤
これは、抗炎症作用のステロイドと気管支を拡張するB2刺激薬が一緒になっている薬です。別々に吸入するよりも高い効果が出るのが特徴です。
「え!?ステロイド毎日使っていいの」と思ったあなたは素晴らしい薬の知識ですね。
ステロイドはホルモンの一種ですので、長期間の服用で様々な副作用が認められます。しかし、吸入薬は気管支に限局しているため副作用が少ないのです。
注意が必要なのは、吸入後は必ず、うがいをしなければなりません。口腔内に吸入薬が残ることで「カビ」が生えます。めんどくさがらず必ず吸入後はうがいをして、口腔内のステロイドを洗い流してください。
また、心臓に病気がある人は、B2刺激薬を使うときは必ず医者に相談してください。B2刺激薬は気管支を拡張する以外に、心拍数をあげたりと心臓にも作用します。心臓に負担がかかる場合があるので医師の判断を仰ぎましょう。
その他のお薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬
気道を収縮させたり、炎症を引きおこしたりするロイコトリエンというアレルギー反応によって生じる物質のはたらきを阻害します。そのため気管支が広がり、炎症もおさえることができます。喘息の合併症として多いアレルギー性鼻炎の治療薬としても使用されます。
抗アレルギー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬以外のもの)
気道炎症の原因となるアレルギー反応をおさえる働きがあります。種類が沢山あり、最もよく使われるのはロイコトリエン受容体拮抗薬です。
抗IgE抗体
気管支喘息の原因になっているIgE抗体があります。そのはたらきをおさえ、気道の炎症を沈めます。高用量の吸入ステロイド薬など複数の治療薬を使用していても不十分な難治性の患者さんに用いられます。2週間または4週間ごとに病院・診療所を受診して、皮下に注射する薬です。
①喘息発作時の吸入薬
喘息発作が起きたときの最優先事項は「とにかく発作を鎮めること」です。そのため、短時間作用型のB2刺激薬を使用し、一刻も早く気管支を拡張します。
なので、多くの患者様は普段使いの予防吸入薬と、特別な日(発作が出たとき)の吸入薬の2本処方されることが多いです。
自分でできる予防策
薬を処方されて「はいもうこれでなんでも大丈夫~」と思う方が結構な頻度でいらっしゃいますが、お薬はあくまで補助です。
自分でできる喘息対策も忘れないでくださいね。
- 規則正しい生活を送る
- 寒暖差や乾燥した環境を作らないように工夫する
- アレルゲンに近づかない
- 布団カバーをこまめに洗う、家を清潔にしておく
- ストレスをためない
喫煙による体への害はこちら
禁煙したい人はこちらを参考にしてください
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