新型コロナウイルスにかかったときに重症化しやすい高齢者の方はどのように治療するのでしょうか?コロナウイルスの対策や、検査方法はメジャーになってきていますが、治療薬はどうでしょうか?新薬ですので副作用についても記載していきます。

ゼビュディ点滴静注500mg添付文書: https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/62504A4A1023_1_04/
では、本日のラインナップです
実は、治療する場合は内服薬か、点滴かを選ぶことができます。
薬の種類にもよりますがは2cmほどの大きな錠剤を1日2回、5日間飲み続けなければなりません。嚥下能力(食物を飲み込む力)が低下している患者さんであればなかなか苦しい部分があるので入院中の方であれば点滴治療も選択肢に入ります。
ゼビュディ点滴静注液の作用
ソトロビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上のACE2受容体結合部位とは異なる部位に結合し、SARS-CoV-2に対する中和作用を示す。また、in vitroにおいて、SARS-CoV-2スパイクタンパク質を発現する細胞に対し抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性を誘導した。
ゼビュディ点滴静注液添付文書より
何を言っているんだと思いますよね。で簡単に書きましょう。
ゼビュディの有効成分である「ソトロビマブ」という抗体が、体内で新型コロナウイルスに結合して新型コロナウイルスがヒト細胞内に侵入するのを防ぎます。
要は、ヒトの細胞にコロナウイルスが結合する前に、ソトロビマブがコロナウイルスに結合して中和さしてくれるのです。
ゼビュディ点滴静注液500mgの副作用
1.アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックとは、体の中の免疫が薬に対して過剰に反応し、生命にかかわる様々な症状を出すことを言います。
アナフィラキシーショックは比較的出現が早いので、投与直後~15分以内に出現しますが、投与後も観察が必要です。
以下の症状が出た場合はアナフィラキシーショックの可能性が十分にありますので投与中から観察しましょう。
- じんま疹
- 全身のかゆみ
- 皮膚の赤み
- ふらつき
- めまい
- 冷汗
- 吐き気・嘔吐
- 息苦しさ
- 顔面蒼白
- 手足が冷たくなる
ショックの5徴候
- 蒼白
- 冷感
- 虚脱
- 脈拍触知不可
- 呼吸不全
ただし、神経性のショックは、末梢冷感がないので、脈が触れない、顔色が悪い、ぐったりしているというのがないか観察しましょう。
2.インフュージョンリアクション(輸注反応)
アナフィラキシーショックに比べて聞きなれない単語ですよね。これは、抗がん剤など分子標的治療薬を投与した時に起こる反応として医療界では有名です。
アナフィラキシーショックは投与後早期に起こりますが、インフュージョンリアクションは投与後しばらくしてから出ることがありますので、投与中投与後は看護師や医師が傍で着き添い状態の観察をする必要があります。
- 発熱
- 悪寒
- 吐き気
- 不整脈、胸部不快感、胸痛
- 頭痛
- 脱力感
- じんま疹、全身のかゆみ
原因は確定しておらず、一過性の炎症反応により引き起こされるとされています。約90%の人は2回目の治療から症状が消失するとされてます。
看護師さんは以上の症状が出ないかしっかり観察する必要があります(私はまだ当たったことがありません)
投与時の注意
副作用に注意すると同時に、投与速度にも注意が必要です。
必ず、常温で30分かけて投与するようにしましょう
ゼビュディ点滴静注液500mgの対象者と非対象者
みんながみんな、この点滴治療ができるわけではありません。
ゼビュディ点滴静注液の対象者
- 55歳以上
- 薬物治療が必要な糖尿病
- 肥満
- 慢性腎障害
- うっ血性心不全
- 慢性閉塞性肺疾患
- 中等症から重度の喘息
- 成人及び12歳以上かつ40kg以上の小児の患者
ゼビュディ点滴静注液の非対象者
- 酸素療法や人工呼吸器などを要する重度の新型コロナウイス感染症の方
- 重症化リスク因子を有しない患者
- 11歳以下で39kg以下の小児
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